雨樋がつまって流れなくなると雨水が一気にあふれて滝のように落水し、それが住宅の不具合につながることもあります。雨樋の掃除はけっこう大切なメンテナンスです。
雨樋がつまる原因
雨樋がつまる原因は、おおよそ次のようなものが考えられます。
落ち葉が雨樋につまっている
最も多い原因が、落ち葉のつまりです。木立の多い立地の住宅などでよく見られます。雨樋の中に落ち葉が入った場合、運良く風で飛んでいくなどすればよいのですが、どうしても樋の中に入ると樋自体が風除けのようになるので、樋の中に残ってしまいがちです。さらに雨水の流れに乗って集水器周辺まで落ち葉が集まってくると、折り重なった落ち葉で水が流れにくくなり、通過できる水量が少なくなります。すると、通常であればあふれることもない雨量でも、樋からあふれてしまいます。
さらにその状態が継続されると、やがて雨樋の中で落ち葉が分解されて腐葉土が形成されます。そこまで進むともはやほとんどの雨水が通過できなくなり、雨が降るとあふれてしまうことが常態化します。さらにこの腐葉土に飛んできた植物の種が活着して、まるでプランターのようになることがあります。
落ち葉がつまって樋があふれる場合は、徐々に症状が進行していきます。最初は大雨の時だけに症状が現れているのが、やがてだんだん少ない雨量でもあふれるようになり、やがては全く流れなくなるのです。
飛来物が雨樋につまっている
飛来してきたビニール袋や、どこかのベランダから飛んできたであろう洗濯物の布などが、たまたま雨樋の中に着地してしまうことがあります。それが集水器を覆ってしまい、樋から雨水があふれます。
飛来物によるつまりの場合、症状はほとんどの場合、ある日突然現れます。
子どもの遊びでボールなどが雨樋につまっている
子どもが遊んでいたゴムボールやテニスボール、バトミントンの羽根などが樋の中に入ってしまい、それが集水器に蓋をするような形でつまることがあります。野球のボールの場合は重量もあるので、樋自体に当たって壊してしまうことはあっても、狙って入れない限りはなかなかつまりの原因にはなりにくいのですが、ゴムボールやテニスボール、バトミントンの羽根などはちょうど良い具合に塞いでしまいます。
また、住宅の軒樋の場合には、バレーボールやサッカーボールなどのある程度の大きさのボールですとそもそも樋の中には入りませんが、屋根の形状がパラペット型の場合には、内側に入り込むと樋を塞ぐ可能性もあります。
ボールでのつまりの場合、症状はほとんどの場合、ある日突然現れます。
カラスのいたずらで雨樋がつまっている
これはおそらくカラスのいたずらであろうと思われるのですが、フライドチキンの骨が軒樋ではなく縦樋につまって、それが原因であふれた事例がありました。フライドチキンの骨ですと、太さ的には雨樋の集水器をすり抜けて中に入ってしまいます。それが縦樋の中に落ち込んで、配水管との接合部分で、カーブを曲がりきれずにつかえてしまい、その後に流れ込んできた小さな葉っぱなどが引っかかって塞いでしまったというものです。
多くはないですが、このような事例もあったということで紹介しました。
なお、この例のように集水器から下の縦樋が詰まった場合、縦樋をコンコンとノックするようにたたいてみるとボヨンボヨンという感触があります。これは、一度つまってしまうと雨が降り止んでも水が抜けないでたまったままになっているからで、つまっていない縦樋とたたき比べてみると全く感触が違います。一度つまってしまうと、少量の雨でも上からあふれてしまいます。
雨樋のなかでコケが繁殖してつまっている
これは雨樋の中に水が少しだけたまった状態が長期間続いた場合に起こりやすい症状です。落雪の影響や、建物自体のゆがみの発生、あるいは何らかのものが当たったなどの原因で、雨樋の水勾配が一部逆勾配になる事があります。そのようなときにその部分が日陰になることが多い立地であると、そのたまり水でコケが生長してだんだんと水の流れを塞ぐようになり、やがては全く水が流れられなくなってそこから落水ということになります。
コケが発生してのつまりの場合、雨量によって、徐々に影響が出てきて、長期間放置することで次第に少しの雨量でもあふれるようになってしまいます。
雪などが凍結して雨樋がつまっている
これは、気温が上がれば溶けてつまりは解消します。ですので凍結している状況で何とかしようというのは非常に危険ですのでおやめ下さい。その状態のつまりは、時を待つしかありません。頻繁にこの状態になるようであれば、次の時期までに、雨樋の構造自体を変更して架け替える必要があるでしょう。
雨樋の清掃方法
雨樋の清掃は大きく次のステップが必要です。
- まず作業足場を確保する
- 雨樋は基本的に高所に取り付けられているので、空中に浮かんで作業するわけにはいきませんから、何らかの作業足場を確保する必要があります。
- 清掃してつまりを解消する
- つまっている状況に応じて清掃し、つまりを解消します。部位によっては、雨樋を一部解体する必要があることもあります。
- 必要ならば補修をして足場を撤去する
- 必要な補修カ所があるならばそれを処置して正常に雨水が流れるようにして、足場を撤去する。
雨とい清掃の作業足場について
雨樋の清掃作業の場合、外壁塗装のようなしっかりした足場を必ずしも必要とするわけではありません。状況に応じて、清掃作業が可能な状態を作り出します。足場は、雨どいの設置状況によってどのように設置するのかが異なります。
足場が必要ない場合
地面に立って手が届く範囲にある場合は、足場を確保することなく作業が可能です。
脚立足場で作業できる場合
地面の上に脚立を置いて手が届く位置の場合には、数脚の脚立と足場板を組み合わせた、脚立足場での作業となります。
簡易はしご足場で作業できる場合
地面からハシゴを立てられる状況であれば、ハシゴと足場板、それにハシゴアームという足場板固定具を用いたハシゴ足場を設置し、それで作業します。ハシゴは、屋根側に立てかける形になりますが、75度程度の角度での設置が必要です。ですからハシゴをかけるには、建物のまわりに、屋根の真下よりも後ろにさがる事ができる広さが必要になります。この広さがない場合には、単管等で足場を組む事になります。
単管等で足場を組む場合
単管や足場専用の部材を使って足場を建てることで作業ができるようにします。この際、足場の転倒や倒壊を防ぐために、「壁つなぎ」という部材を建物の壁に打ち込んで、単管を支えることになります。
雨樋清掃の価格
雨とい清掃の値段は、《雨とい清掃そのものの価格》+《足場等の架け払い費用》+《諸経費》+《消費税》となります。