日本の伝統的建築技術が世界遺産認定へ

「伝統建築工匠の技:木造建造物を受け継ぐための伝統技術」の一部として瓦葺きの技術もユネスコ無形文化遺産へ

瓦葺きや檜皮葺き・杮葺き・茅葺きなどの日本の伝統的な屋根葺き技術が、ユネスコの無形文化遺産へ登録される見通しとなったのでお知らせいたします。

文化庁は2020年11月17日、我が国よりユネスコ無形文化遺産代表一覧表への登録に向けて提案した「伝統建築工匠の技:木造建造物を受け継ぐための伝統技術」について、ユネスコ無形文化遺産に認定される見通しとなったことを報道発表しました。(文化庁報道発表 >「伝統建築工匠の技:木造建造物を受け継ぐための伝統技術」のユネスコ無形文化遺産代表一覧表登録に関する評価機関による勧告について

ここで登録される日本の伝統建築工匠の技とは、今現在、一般的に新築される住宅の技術ではなくて、日本の長い歴史風土の中で出来上がってきた伝統的な建築技術のことで、具体的にはつぎの17分野の技術になります。

  • 建造物修理
  • 建造物木工
  • 檜皮(ひわだ)葺き・杮(こけら)葺き
  • 茅葺き
  • 檜皮採取
  • 屋根板製作
  • 茅採取
  • 建造物装飾
  • 建造物彩色
  • 建造物漆塗
  • 屋根瓦葺き(本瓦葺き)
  • 左官(日本壁)
  • 建具製作
  • 畳製作
  • 装潢修理技術
  • 日本産漆生産・精製
  • 縁付金箔製造

現代において、日本瓦、和瓦として認識されて住宅にも用いられている瓦は、1674年に近江大津の瓦工・西村半兵衛が開発した瓦です。それ以前の瓦は飛鳥時代に日本に伝わって以降改良されつつも受け継がれていた瓦葺きの方法で、現在そちらは「本葺き瓦」として、西村半兵衛以降の「簡略瓦」と区別されています。今回、ユネスコの文化遺産に認定される見通しの瓦葺きは、古い方の「本瓦葺き」です。

本葺き瓦の元祖・日本最古の現役の瓦・奈良元興寺の屋根瓦

下の写真は、今回認定される本葺き瓦の元祖となった、奈良・元興寺本堂の瓦。本堂前の広場から見渡せる瓦は後世のものですが、向かって左手の面には、日本最古の現役瓦が今も活躍しています。

日本で現役最古の瓦
現役で使用されている日本最古の屋根瓦【奈良・元興寺本堂(極楽堂)の一部の瓦】飛鳥時代に蘇我馬子によって建立された日本最初の寺院・法興寺(飛鳥寺)で使われた瓦。その後の平城遷都で奈良に移築され元興寺となった後も歴史と風雪に耐えて今も現役の瓦として使われている。

『日本書紀』によると、西暦588年に百済から仏教と共に瓦が伝来し、技術者も渡来したとされていますが、この瓦はその渡来した技術者が作ったもので、飛鳥寺に使われていたものです。その後710年に都が奈良の平城京に移ると、飛鳥寺も移転となり、現在の元興寺となりました。その時に瓦も移し替えられたのです。

その後、時代の遷移とともに何度も屋根の修繕が繰り返される中で、破損した瓦は新しいものに取り換えられて、だんだん最初のものは減っていったのですが、現在でも一角に1400年以上前に作られた瓦が現役で活躍しています。ここからはじまった本葺き瓦が、今回世界遺産になるのですね。

12月中旬には正式に決定

なお、文化庁の報道発表によると、フランス・パリにおいて令和2年12月14日~12月19日に開催される第15回政府間委員会にて、ユネスコ無形文化遺産への登録が最終決定されるとのことです。